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複数の会社で働いている方の労災保険給付が改正されました

「労災保険」とは、労働者が業務や通勤が原因で、ケガや病気等になったときや死亡した場合に

治療費や休業補償など、必要な保険給付を行う制度です。

これまでは、複数の会社で働いている労働者について、働いている全ての会社の賃金額を基に

保険給付が行われないことや、全ての会社の業務上の負荷(労働時間やストレス等)を

総合的に評価した上での労災認定がなされないことが課題でした。

働き方改革やコロナ禍の影響により、多様な働き方を選択する方やパート労働者等で

複数就業をしている方が増えてきており、副業・兼業を取り巻く状況の変化を踏まえ、

複数事業労働者の方が安心して働くことができるような環境を整備する観点から

「労働者災害補償保険法」が改正されました。

 

保険給付の種類

① 業務災害に関する保険給付

業務上のケガや病気、障害又は死亡に対して支給されるもの

② 通勤災害に関する保険給付

通勤上のケガや病気、障害又は死亡に対して支給されるもの

③ 二次健康診断等給付

職場の定期健康診断で脳血管や心臓に係る検査で異常があった場合、

再検査や特定保健指導を行うもの

④ 複数業務要因災害に関する保険給付

複数勤務が要因とするケガや病気、障害又は死亡に対して支給されるもの

今回新設されたのが④の保険給付です。

 

改正ポイント

改正内容は、【賃金額の合算と負荷の総合的評価】です。

 

① 対象者は?

業務や通勤が原因でケガや病気などになったり死亡した時点で、

事業主が同一人ではない複数の会社に使用される労働者(複数事業労働者)が対象となります。

② 賃金額の合算とは?

労災保険給付のうち、休業(補償)等給付については、「給付基礎日額」をもとに

保険給付額が決定されます。

これまでは、労働災害が発生した会社での賃金額を基礎として算定されていました。

今回の改正により、複数の会社で働いている場合等については、全ての会社等の賃金額を

合算した額を基礎として算定されます。

③ 負荷の総合的評価とは?

今回の改正により複数の会社での業務を要因とするケガや病気、障害や死亡についても

労災保険給付の対象となります。(「複数業務要因災害」といいます。)

対象となる傷病等は、脳・心臓疾患や精神障害などです。

例えば、会社Aで上司から激しい叱責により心的ストレスを抱えた状態であり、

経済的理由から会社Aでの8時間勤務終了後、会社Bでアルバイトを4時間勤務していたが、

その後、精神疾患により就労不可の状態となった。

それぞれの会社では労災認定されなかったが、改正によりAとBの負荷(労働時間やストレス等)を

総合的に評価して、労災認定ができるかを判断されることになります。

 

注意すべきポイント

ポイント①

労災が起こった場合、労災保険給付の請求を行うのは原則労働者ですが、記入が難しかったり

事業主の証明が必要であるため、事業主や人事担当者が記入されていることが多いと思われます。

複数の会社で就業している場合は、新様式の「複数就業先の有無」「複数就業先の事業場数」や

「労働保険番号」等について、記入が必要となります。

未記入の場合は、複数事業労働者とは認められないため適切に記入するようにしてください。

また、必要に応じて「別紙1」の平均賃金算定内訳なども記入するようにしてください。

 

ポイント②

「業務災害」として労災認定される場合は、「複数業務要因災害」として労災認定はされません。

会社Aで業務上の負傷した場合は、「複数業務」での原因の負傷ではないため

業務災害が優先されることとなります。

 

ポイント③

複数業務要因災害に関する保険給付について、以下の給付の金額は勤務している全ての会社の

賃金を合算して算定されます。ただし、2020年9月1日以降の労災のみ合算できます。

・休業(補償)給付・・・労災で休業している場合の賃金補償

・障害(補償)給付・・・労災で障害が残った場合に支給される年金等

・遺族(補償)給付・・・労災で死亡した労働者の遺族に支給される年金など

 

ポイント④

労災保険給付の申請書は、原則業務災害等が発生した会社を管轄する労働基準監督署に提出となります。

複数の会社で就業している場合は、管轄する労働基準監督署にそれぞれ提出する必要はなく、

いずれかの労働基準監督署に提出してください。

 

働き方が多様化しているため、労働者の副業や兼業について、

企業としてどのように対応していくべきなのか、社内ルールの整備を行うことを検討されてみてはいかがでしょうか?

 

 

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