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固定残業手当は無効 会社に支払い命令

《 固定残業手当は無効 会社に支払い命令 》

   ~社員の同意必要 地裁判決確定~

 

平成30年4月22日 ~毎日新聞の記事より~

 

N市の米穀会社が導入した固定残業手当制度が有効かが問われた訴訟があり、
N地裁は、【固定残業手当導入時に従業員の同意を得なかった】などとして制度を無効と判断し、
会社に対し社員ら5人に未払い残業代など約1700万円を支払うよう命じる判決が出た。

 

会社側が3月、高裁への控訴を取り下げ、地裁判決が確定した。

 

人件費抑制のため固定残業手当を導入する会社が増えるなか、
一方的な導入に司法が警鐘を鳴らした判決となった。

昨年9月14日のN地裁判決によると、N市の米穀会社「S社」は、
2013年に就業規則と給与規定を変更して固定残業手当を導入。

 

判決は固定残業手当導入と引き換えに、従来支給されていた手当が不支給となったこと、
「労働者の同意がなければ就業規則の不利益変更はできない」とする労働契約法に基づき、
就業規則の変更に労働者の同意があったかも検討され、導入は「不利益な変更に当たる」と判断。

 

同社は管理部門の社員らが「労働者代表」として同意したと主張するも、
判決は、この社員らが労働基準法などが定める
【労働者の過半数の挙手】などの手続きを経て選ばれておらず、同意を得たことにはならないと結論。

 

固定残業手当を巡っては労働者が各地で訴訟を起こしているが、
【制度導入時に従業員の同意がなかったことを理由に無効】と判断したのは初めてとみられる。

 

社員側代理人の弁護士は
「『固定残業代を払えばどれだけでも働かせられる』という誤った運用が問題になっている中で、
判決の意義は大きい」
と話す。

 

同社の担当者は
「判決と見解の相違があるが、問題の長期化を避けるため受け入れた」
と話しているよう。

 

 

~ 時間外労働 月100時間超も ~

 

判決によると、S社は固定残業手当の導入前、
大半の社員に対し退勤時にタイムカードを打刻させておらず、
2011年と12年には2度にわたり、
労働基準監督署から残業代の未払いなどについて指導を受けていた。

原告の一人は1年1カ月にわたって過労死ラインとされる月100時間を超える時間外労働を強いられ、
髪が抜けるなどの健康被害もあった。

 

労働基準監督署から指導を受けた後、同社は固定残業手当を導入したが、
引き換えにそれまであった別の手当の支給を廃止したため、従業員の給料は結局増えなかった。

原告らは労働組合を結成し、14年に提訴。

 

 

 

 

■□ ことば □■

 

~ 固定残業代(手当) ~

 

労働者が一定の時間外労働をしたとみなし、毎月固定額を払う残業代のことです。
会社は就業規則などで固定残業代の支給額や対象時間数を明示し、
実際の残業時間がみなし残業時間を超えた場合は超過分の賃金を払わなければなりません。

 

また、各労働者ごとに基礎単価が違うため、労働条件通知書や雇用契約書にて、
【〇〇時間分 ◇◇円】と明示する必要があります。
(〇〇時間を超えた分について、割増賃金を支払う義務が生じます。)

 

 

労働者選出方法について

 

今回の判決は、金額や時間数が明示されていなかったことも無効判断の理由に挙げられました。
就業規則の不利益変更や、各種労使協定締結時の相手方として労働者代表を選出する際に、
その選出方法に会社側(経営者や幹部)が関与したり、
所定の手続きを踏まず、労働者代表を選出することは認められていません。

 

事例では、手続きを行わず労働者代表を選出し、就業規則改定の意見を聴取したものと思われます。
そのため、同意を得たことにならず無効となっています。

 

 

労働条件変更の際の注意点

 

 

制度導入については細心の注意を払い、労働条件に不利益変更が生じる可能性がある場合は、
労使協定締結や就業規則の意見を聴く場合など、労働者代表を選出するときは選出方法を明示し、
その内容を書面でほかの従業員にも、【労働者代表者】と認知できるようにすることが望まれます。

 

 

 

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