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「算定基礎届(定時決定)」の基礎知識&提出時の注意点
毎年6月になると年金事務所より、被保険者(5月中旬頃までに届出された方)の氏名、生年月日、従前の標準報酬月額等があらかじめ印字された届出用紙が送られます。(届いたら内容に誤りがないかを確認してください。)
この時期の担当者さまは、労働保険年度更新に加え、算定基礎届も行わないといけませんので、大変忙しい日々をお過ごしなのではないでしょうか。
今回のブログでは前回の「~初心者の方へ~ 初めての年度更新ガイド(2019.6.11)」に引き続き、初心者の方に向けて「算定基礎届(定時決定)」の基礎知識、また提出時の注意点などについてまとめていますので、ご参考にしていただければと思います。
社会保険の定時決定とは
事業主は毎年1回、従業員の健康保険・厚生年金保険の被保険者の報酬月額を届け出て、各被保険者の標準報酬月額を決定します。
被保険者が実際に受ける給料などの報酬は、昇給や手当の支給などにより変動する場合がありますので、実際に受ける報酬がすでに決められている標準報酬月額と大きくかけ離れてしまう場合があります。
それを毎年1回、決まった時期に4月~6月までの給与額をもとに算出し、定期的に届け出て見直すことを「定時決定」といい、その届け出を「算定基礎届」といいます。
◆定時決定の対象者
原則として7月1日現在の社会保険の被保険者が対象です。欠勤中の人、休業中の人、海外勤務で日本にいない人も対象となります。
ただし、7月1日現在で被保険者であっても次のような人は除きます。
<対象から外れる人>
- 6月1日以降に被保険者になった人(→翌年の7月に定時決定を行います)
- 6月30日以前に退職した方
- 7月改定の月額変更届を提出する人
- 8月または 9月に随時改定が予定されている旨の申出を行った方
◆算定基礎届の書き方
標準報酬月額を決定するためには、「算定基礎届」を作成し提出しなければなりません。
算定基礎届には、4月・5月・6月の各月に受けた報酬の支払基礎日数、各月に支払われた通貨による報酬および現物で支給されたものを通貨に換算した額、各月の合計報酬額、対象月数で求めた平均報酬月額などを記入します。
原則的な方法は、4~6月の賃金を合算して「3」で割った額が「報酬月額」となりますが、
・支払基礎日数に17日未満の月があるとき
・休業期間があるとき
・月の途中で入社したとき
などについては別の取り扱いが必要となるため、必ずガイドブックを参照してください。
日本年金機構「算定基礎届の記入・提出ガイドブック 令和元年度」
◆支払基礎日数について
算定基礎届は4、5、6月に支払われた給与を報酬月額として届出しますが、給与計算の締切日と支払日の関係によって支払基礎日数が異なります。
(例)月給制の場合
●給与末日締 当月末日支払の場合
●給与25日締 当月末日支払の場合
●給与末日締 翌月10日支払の場合
◆報酬について
標準報酬月額の対象となる報酬とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与などの名称を問わず、 労働者が労働の対償として受ける全てのものを含みます。また、金銭(通貨)に限らず、通勤定期券、食事、住宅など現物で支給されるものも報酬に含まれます。
ただし、臨時に受けるものや、年3回以下支給の賞与(※年3回以下支給されるものは標準賞与額の対象となります。)などは報酬に含みません。
◆提出について
※提出期間は7月1日から7月10日
日本年金機構 事務センターへ提出します。(算定基礎届送付時に同封している返信用封筒をご使用ください)
「算定基礎届」により決定された標準報酬月額は、原則1年間(9月から翌年8月まで)の各月に適用され、納める保険料の計算や将来受け取る年金額等の計算の基礎となります。
◆提出時の注意点
●「被保険者報酬月額算定基礎届 総括表」は、「被保険者報酬月額算定基礎届」と同時に提出する。※該当者がいない場合も提出。
●届出用紙に氏名等が印字されていない場合は、印字されていない欄に手書き等で追記する。
(印字されていない欄が足りない場合は、管轄年金事務所へご連絡ください。)
「3.申請及び届書様式・添付書類」の「1.健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届」からダウンロードすることも可
●届出用紙は、被保険者整理番号順になるように、順番をそろえる。
●8月または9月の随時改定に該当した場合は、月額変更届が優先されるので、該当後、速やかに月額変更届を年金事務所に提出する。
●標準報酬月額が決定又は改定された場合は、必ず被保険者本人へ通知する。
※書類は提出してしまうと手元には戻ってこないため、必ず提出書類のコピーをとっておき、その控えは会社で保管されることをお勧めします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
年度更新と同じく、「算定基礎届」は毎年行う処理なので、一度提出したことがある方にとってはさほど難しいものではないのですが、はじめて申請する人にとっては面倒で難しく感じてしまうかもしれません。
しかし、算定基礎届は、「年金」という「従業員が将来もらうお金」の元になる標準報酬月額を決める、大切な届け出でもあります。
算定基礎届の作成・定時決定では、どの従業員が対象になるのか、どの報酬が標準報酬月額のもととなるのかを正しく把握し、期限内に提出してください。
少しでもご不明点がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。