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令和5年度 助成金の変更点 ≪キャリアアップ助成金≫
コロナも収束し、国としては経済活動の回復に重点を置きたいところです。
令和5年度の助成金の重点事項は、「賃上げ」や「人への投資」となっています。
今回は、キャリアアップ助成金についてご紹介いたします。
令和5年度 キャリアアップ助成金の主な変更点
令和5年3月31日をもって生産性要件が廃止されました。それに伴い受給額が加算されたものがあります。
●正社員化コース
有期契約労働者、パート、アルバイト、派遣労働者を正社員にさせた場合に助成されるものです。
有期→正規 57万円(42万7,500円)
無期→正規 28万5,000円(21万3,750円) *( )内の金額は大企業 以下同じ
受給額は昨年度と同じですが、加算に関して追加事項がありました。
今までも、派遣労働者や、母子家庭の母、父子家庭の父を正社員にした場合などに加算がありましたが、『人材開発支援助成金』の訓練修了後に正社員にした場合の加算のうち、以下の訓練を修了後に正社員にした場合は、加算額が引き上げられました。
- 『自発的職業能力開発訓練(従業員が自発的に受けたい訓練に会社が費用を出すというもの)』
- 『定額制訓練(サブスクリプション型の研修サービス)』
加算額は下記のとおりです。
有期→正規 9万5,000円 ➡ 11万円 (大企業も同額)
無期→正規 4万7,500円 ➡ 5万5,000円 (大企業も同額)
また、『人材開発支援助成金』の訓練後に正社員にし、『キャリアアップ助成金』の正社員化コースを申請する場合は、『人材開発支援助成金』の書類に必要事項を記載することによって、『キャリアアップ助成金(正社員化コース)』の「キャリアアップ計画」とみなすことができ、手続きを一部簡略化することができるようになりました。
令和4年10月の正社員転換より「正社員の定義」と「非正規労働者の定義」が変更されています。
「正社員」には、「昇給」と「賞与または退職金」の制度があること。
なお「試用期間」は「正社員」とはみなされませんので注意が必要です。
「非正規労働者」は、基本給・賞与・退職金・各手当・昇給率などいずれか1つ以上で、正社員と異なる制度が明示され、それに沿って6か月以上運用されている必要があります。
また有期契約の場合は、契約期間を就業規則に明示しなければ、無期契約とみなされますので、受給額が変わってきます。
●賃金規程等改定コース
有期契約労働者の基本給の賃金規程を増額改定し、実際に増額させた場合に助成されます。
増額改定幅が、2%以上 ➡ 3%以上 に変更
1事業所1年度1回限りの申請回数 ➡ 申請回数の制限をなくし、1事業所1年度あたり100人までの人数上限のみとなります。
また、5%以上引き上げる場合は助成額も大きく引き上げとなっています。
さらに、職能評価の手法の活用により、賃金規程等を増額改定した場合には加算がされます。
●賃金規程等共通化コース
全ての有期契約労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規程等を新たに作成し、実際に運用した場合に助成されます。
1事業所当たり1回のみ
57万円(42万7,500円) ➡ 60万円(45万円)
●賞与・退職金制度導入コース
全ての有期契約労働者等に関して、賞与・退職金制度を新たに設け、賞与の支給又は退職金の積立を実施した場合に助成されます。
1事業所当たり1回のみ
賞与又は退職金制度を導入 38万円(28万5,000円) ➡ 40万円(30万円)
賞与・退職金同時導入 54万円(40万5,000円) ➡ 56万8,000円(42万6,000円)
●短時間労働者労働時間延長コース
短時間パート等の週所定労働時間を延長し、新たに社会保険の被保険者とした場合に助成されます。
①週所定労働時間を3時間以上延長し、社会保険に加入 *一人当たり
22万5,000円(16万9,000円)➡ 23万7,000円(17万8,000円)
②手取りが減少しないように週所定労働時間を延長し、基本給を昇給させ、社会保険に加入
1時間以上2時間未満延長 *一人当たり
5万5,000円(4万1,000円)➡ 5万8,000円(4万3,000円)
2時間以上3時間未満延長
11万円(8万3,000円)➡ 11万7,000円(8万8,000円)
①②合わせて1年度1事業所当たり申請上限人数45人
厚生労働省:キャリアアップ助成金のご案内
https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001082763.pdf
まとめ
キャリアアップ助成金は、正社員ではない非正規労働者を対象としたものです。
中でも「正社員化コース」は、受給額も大きく、利用価値が高い助成金です。
1年度1事業所あたり20名まで申請可能ですので、パートさんを正社員にしたい、派遣労働者を直接雇用へ切り替えたい というような場合には、是非とも活用したいものです。
キャリアアップ助成金を受給するには、事前に「計画届の提出」が必要です。
正社員へ変更してしまった後では申請はできませんので、予定がある時点で一度当法人へご相談下さい。
原則返済不要で無償で受け取ることができる助成金。上手に活用しましょう!