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≪よくあるご質問≫新型コロナウイルスの影響に関する労務相談
兵庫県内でも100名を超える感染者が発表されている新型コロナウイルス。
学校の臨時休校から1ヵ月以上たちましたが、未だ収束の目途すら立たず、企業活動にもさまざまな影響を及ぼしています。
当法人にも、多数の企業様から「従業員を守るためにはどうすればいいのか?」と、さまざまな質問が寄せられています。
同じように悩まれている企業様の参考になればと考え、ご相談内容を紹介いたします。
ぜひ、参考にしていただければ幸いです。
■感染の疑いのある従業員に対して、隔離することは可能ですか?
濃厚接触者の方も症状がなく、当人は検査対象にすらなっていませんが、万が一のことを考えて他の従業員との接触を極力避けさせたいと考えています。一人だけ別室で仕事させることは可能でしょうか?
企業には、雇用者に対して生命や身体の安全を確保しながら働けるように配慮する「安全配慮義務」があります。
そのため、ご本人の同意を取った上で他の従業員の方とは別室で仕事をしていただく、または自宅で仕事をしていただくことも可能です。
こういった対応は特に就業規則の変更もなく行えます。
しかし、お仕事の内容によっては他の従業員と離すなどの対応が難しい場合もあります。
その際は、会社判断において自宅待機を命じることとなりますが、休業手当を支払う必要があることをご理解ください。
ご本人の体調不良など、自ら出社自粛の申し出があった場合は休業手当の支払い義務はありませんが、ご本人が有給休暇を使いやすいように配慮してあげるとよいでしょう。
万が一、新型コロナウイルスへの感染が発覚した場合は、感染症法に基づき都道府県知事より就業制限がかけられます。
この際も「企業の責」ではないため、休業手当の対象にはなりませんが、ご本人が被用者保険(協会けんぽなどの健康保険組合や共済組合)に加入されている方であれば傷病手当の対象となりますので、手続きを行ってあげましょう。
Q.通常通りに仕事があるが、従業員が出社できない。
幸い、この状況でも通常通り営業をできているのですが、出社できる者の業務量が増えています。
時間外労働の上限規制などの法律もあるので悩んでいます。
新型コロナウイルスの影響を起因とする場合、例外的な扱いが認められることもあります。
例えば、36協定において「臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合(特別条項)には、限度時間(月 45 時間・年 360 時間)を超えることができる」とされています。
新型コロナウイルス感染症による繁忙の場合は、特別条項の理由として認められると厚生労働省のQ&Aでも明記されています。
なお、現在特別条項を締結していない企業様も、法定の手続を踏まえて労使の合意を行うことにより特別条項付きの36協定を締結することも可能です。
また、1年間の変形労働時間制の運用を採用されている企業様においては、労使協定を締結し直すことも可能です。
「自社がどういった対応できるのか?」などは、お気軽にご相談ください。
Q.新型コロナの影響で休業するスタッフの賃金を補償するための助成金があると聞きましたが、対象者はどんな方ですか?
小学校等の臨時休業等に伴った保護者の方への助成金については、新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金が適用されます。
この場合、従業員の雇用形態(正規・非正規)を問わず運用されます。
雇用保険の非加入者であっても対象となります。
また、従業員の雇用を守るために、出勤日数を調整したいと考えておられる企業様は、雇用調整助成金を利用できる可能性もあります。
雇用調整助成金とは、経済上の理由により事業縮小を余儀なくされた事業主が、事業活動を維持をするために、従業員に対して休業や教育訓練、出向などを行って図った場合に、その休業手当や賃金の一部を助成するものです。
今回、新型コロナウイルスの影響で、特例が実施されており、休業実施後の事後申請も認められています。
こういった助成金を活用いただき、雇用の維持・継続を目指していただければと思います。
現在、未だ感染者は増え続けています。
今後もさまざまなお悩みが出てくると思いますが、政府でもさまざまな対策が講じられています。
今後、企業活動や雇用維持のための支援も広がる可能性もあります。
「どんな助成金が使えるのか?」「こういったケースは法律に反するのか?」など、労務管理に関するご相談ごとなどがございましたら、お気軽にご相談ください。
※この記事は、2020年4月3日に作成しております。各種助成金に関する情報は、状況に応じて随時変更されておりますことをご了承ください。